「トビー。」
「なに? ゼオ。」
「最近おまえ、フェリスと仲良いじゃないかよ。」
「ん? うん、確かにそうかもね。フェリスは良い子だよ。飲み込みも早いし。」
「……そんなことねーぞ! あいつ、しょっちゅうシャドウシュートの練習にきてるし。素行が悪いしょうこだ。」
「シャドウシュートは、なにも罰というだけじゃないよ。基礎は大切だ。特に彼女はまだ初心者だから。」
「ベイだっておれよりへただし。たまにおれに対して暴言はくんだからな! あいつはよくない女だ。だいたい、女のくせにベイジムに通うなんて偉そうだ。」
「…………。」

「今日はおもしろかったな!」
「うん。見てるこっちもどきどきしたよ。」
「フェリスな。良いやつだよな。短期間ですげーうまくなった。こりゃ、強敵出現かも…?」
「楽しみだね。」
「そりゃー買いかぶりすぎなんじゃないか? あいつ、おれとしょっちゅうシャドウシュートやってんだぜ。まだまだだよ。」
「そのまだまだが、これからどうなるか分かんないんだぜぇ?」
「……ゼオ。」
「何だよ。」
「フェリスのことが好きなら、遠慮しなくていいんだよ。僕は相談に乗るよ。」
「はあっ!?」
「えっ、ゼオ、フェリスのことが好きなのか!?」
「何だよ突然! そんなわけないだろ!」
「意地をはらなくてもいいんだよ。僕たちは友達だろ?」
「そうかフェリスか。フェリスはなー。良いやつだよなー。オレも応援するぜ!」
「だーかーら、違うって! あっそうだ正宗、あいつと一番に仲良くなったのはおまえだろ? おまえのほうこそどうなんだ!」
「えっオレっ? オレは別に、そんな下心があったわけじゃ…っ。
 ただ…」
「ただ?」
「オレ、アメリカに来たばっかのころ、一人で寂しかったんだよ。だからおまえらと仲良くなれてすげー嬉しかった。だから、さ。オレがフェリスにとってのゼオやトビーになれたらって思ったんだよ。
 ベイは一人じゃできないだろ?」
「正宗……」
「仲良くなってわかったけど、フェリスは良いやつだよ。何よりベイにいっしょうけんめいだからな! 夢に向かって努力するやつに悪いやつはいねえ。
 おまえがフェリスのことが好きだって言うんなら、オレは応援するぜ! 友達として!」
「うん。僕も同じ気持ちだよ、ゼオ!」
「だから違うんだってー!」
「チューか、チューがしたいのか!?」
「だから…!」
 そのフェリスはな、おまえのことが好きなんだよ!