わたしはその扉の前に立った。
この扉からいろんなことが始まった。すべてと言っても過言でない。
あのときここでわたしは正宗に会って、扉をくぐってジムに入って、ベイブレードを初めて、トビーやゼオやみんなに会った。
最初の扉を開けてくれたのは正宗だった。そして今ここには正宗はいない。わたしだけだ。
もしここで誰かわたし以外のジムの人が来たら、いとも簡単に、日常的な動作の一貫として、扉を開けてしまうだろう。わたしはそれにまぎれて中に入ることができるだろう。でもそんなのはぜったいにいやだと思った。今日は、誰も遅刻なんてしていませんように! とこころの横のほうで願う。
今このときこの扉を開けるのはこのわたしだ。あいぼうオセロットをこの手に持って、ジムの扉を開けるのだ。
開けて目の前に開ける世界を前に、ひるむことなく胸を張って、わたしは笑顔で言うのだった。
「おはようみんな! 久しぶりだね!」